インフィニート イタリアン&バー

私の店では主に、ディナータイムをメインに営業をしてきた。

 

バー出身の私には、アルコールが動かない時間帯の営業はどうにも性にあわないと思っていたからである。

 

しかし、近年のトレンドの変革はアルコールの需要、アルコールを含めた文化の衰退を促したように思う。

 

そして、需要の少ないところに訴求をしていくことの不毛さを、これでもかと痛感していたところである。

 

もはや末期がんの私には抗がん剤や緩和治療のため飲酒をすることは致命傷となる。

 

それでも生きいる限り、食べるということは欠かせない。

 

アルコールは飲食や時間の楽しみを増幅させる素晴らしいツールなのだが、それ無しでも楽しい飲食をしていかなければならない。

 

大病により大きな制約を課されたが、それでも生きていくというのはそういうことである。

 

そこで私はすぐに、週末だけであるかランチ営業を開始した。

 

これは平日にも展開するための布石であるが、すぐに対応するためには土日の二日間が限界であり、さらには準備が行き届かない状況でも、平日に比べて提供スピードに少しの余裕が生まれる。

 

平日にはスピード最優先となるランチも、土日の客層であれば比較的ゆったりと過ごしてもらえるということがある。

 

ただ、すぐにその甘い考えは打ち砕かれ、30席ほどの店舗は一気に押し寄せるお客さんを捌ききることが出来す。

 

多くのお客さんをお断りする体たらくである。

 

予想外の反応に身が引き締まる思いである。

 

飲食店のセオリーは、席数を回し切ることにある。

 

 

席数×客単価×回転数=売上

 

である。

 

キャパを回し切れない飲食店がビジネスを語る資格はない。

 

既にオペレーションと仕込みの段取りに大幅に手を加えて、ピーク時にも回し切る算段をしている。

 

そこが始まりであり、クオリティー、満足度、客単価、回転率などを最大化していくことが至急の課題である。

 

並行しながらランチの平日への展開、スイーツを含めた客単価のアップ、カフェ需要への対応とディナータイム以降はバーとしての機能で顧客の需要を喚起しようと考えている。

 

賃料は一定なので、事業展開が幅広く稼働時間が伸びれば、経費の負担は減少していくことになる。

 

つまり、利益を出しやすい環境は目の前にあるということになるのだ。

 

これは各セグメントをブラッシュアップし、チェーン展開の武器にするべく、最優先で取り組む課題であると同時に、大いなるチャンスだと感じている。

 

差別化可能なほどのパフォーマンスを生み出すなら、関連する事業は全てチャンスになると考えている。

 

直近は同業他者の知人や友人の力を借り、サービスや商品の質を高めながら、その利益を全て投じてでも、人材を獲得することにフォーカスしたいと考えている。

 

その人材が商品やサービス、空間を成長させている間に、私は私の仕事をしなければならないのである。

 

それら商品やサービス、店舗の管理と、当の人材の育成である。

 

私は感覚や感性を最大限に発揮しつつ、実働からは身を離さなければならない。

 

これから言うことを効かなくなる身体で、私の武器は頭脳や感性ということになる。

 

一見難しい事のように思うが、事業展開とはそういうものなのだろう。

 

 

だからこそ、より経営判断や選択は重要になり、圧倒的に勝ち続けるためには知恵を絞らなければならない。

 

衰える体力を、知恵でカバーし、補って余りあるパフォーマンスを発揮する。

 

無理難題のように聞こえるかもしれないが、それでも私にしてみれば、相手にとって不足なしといった心境である。

 

変なもので、こんな時に、初めて生きているのをリアルに実感しているようですらある。

 

死んでいるのと変わらない怠惰な生より、短くとも太い人生。

 

悪いものでは無いと、本心からそう思う。